第四話:都心の病院で下った診断名
目次
初めての“東京都心暮らし” #
転勤の辞令が出た。
人生で初めて、東京都心に住むことになる。
関東に住んだ経験はあったものの、いわゆる“都心生活”は初めてで、その利便性を想像するだけで少しワクワクした。
引っ越してみると、家の近所に大きな総合病院があることに気づいた。
ずっと続いていた咳のこともあり、「せっかくだし一度ちゃんと診てもらうか」と思い立って受診してみる。
都心の主力病院で見つけた希望 #
さすがは都心の主力病院だ。
診療科の一覧に「アレルギー呼吸器科」という、自分の症状にドストライクな名前が並んでいて、思わず希望が湧いた。
診察の結果、医師から告げられたのは「咳ぜんそく」という診断名だった。
原因がわかったことには正直ほっとした。
長く続く咳に名前がつくと、それだけで状況が整理される。
「ぜんそく」という言葉への違和感 #
ただ、「ぜんそく」という言葉がどうしても自分のイメージと結びつかなかった。
小学生の頃、同級生にぜんそく持ちの子がいて、
「体が弱い子がなるもの」という印象が自分の中に強く残っていたからだ。
健康体だと思っていた自分に、そんなレッテルが貼られるのはどこか受け入れがたかった。
ネットで調べてみると、
「咳ぜんそくは喘息の薬が効くのでそう呼ばれるが、喘息とは違う」
という説明が多く見つかった。
その情報に少し救われた気がした。
周囲の反応と、受け入れられない自分 #
とはいえ、周囲の人に「咳ぜんそくになってさ」と話すと、
たいてい「え、喘息なんだ」「その後、喘息はどう?」と返ってくる。
そのたびに
「いや、喘息じゃなくて咳ぜんそくで、こういう違いがあって……」
と説明する自分がいて、なんとなく“言い訳している人”みたいに感じられた。
約20年が経過したいま振り返ると、自分のイメージを守るために一生懸命だったんだなと思う。